トップページ診療のご案内 > 骨代謝/骨粗鬆症

骨代謝/骨粗鬆症

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは粗はあらいと云うことで、鬆の髟は「かみがじら」と云って髪の毛を表わします。また鬆の松は松の葉を表わします。どちらも向こうが透けて見えるので、鬆は透けていることを表わします。ですから骨粗鬆症は骨の中があらくなり、スカスカで透けたようになる病気で骨の量は少なくなり弱くなって骨折しやすくなります。

骨粗鬆症にかかっている人は700万人位といわれ女性と男性の比率は9:1です。

骨粗鬆症でよく骨折を起こすところは手首、背骨(圧迫骨折)と寝たきりの原因となる大腿骨の付け根です。このように骨粗鬆症は放置すると怖い病気ですが、最近は簡単に骨量を測ることが出来るようになりましたので、早期発見をすることができるようになりました。早く治療をすれば病気の進行を止めることができるだけではなく、骨量を増やすこともできますから、決して恐ろしい病気ではありません。

骨粗鬆症Q&A

Q. どれくらいのカルシウム摂取が必要ですか?

A. 骨量減少を予防するには薬理量のカルシウムが必要で普段の食事に更に一日1000〜1500mgのカルシウムが必要です。カルシウム摂取は骨粗鬆症の患者さんで他の治療をされていない場合には食物中であってもカルシウム剤でもどちらでもよいです。カルシウムの利点は安価で使いやすく、副作用等チェックの回数が少なくて良く、受け入れられやすい点です。

カルシウムは食事と一緒に摂るのがよいとされています。しかし一度に多くのカルシウムを取ってもオーバーフローするので一回の摂取量は500mgを越えないようにするのが望ましいとされています。カルシウムの摂取過剰についてのリスクはほとんどありませんが腸管からのカルシウム吸収が増加している疾患や高カルシウム血症では禁忌です。1)カルシウム摂取の上限については厚生労働省が一日2500mgとしてだしたので、これは特に上記のような疾患がない場合には一日2500mgまで安全であることが確認されたことを意味します。一日600mgというのはこれ以下では骨を維持できないぎりぎりの値です。実際閉経前の女性では500mgを境にカルシウム-バランスが変わるといわれています。

つまり一日500mg以下の摂取量ではマイナス・バランスになり体からカルシウムが流出していくと考えられます。高齢になればなるほど、腸管からのカルシウムの吸収は悪くなるので、カルシウムの摂取量はさらに多くしなければなりません。骨粗鬆症を心配するくらいの人では少なくとも一日1500mgを摂取するというのが国際的な常識です。つい最近まではカルシウム摂取しすぎると尿中カルシウム排泄が増加し、腎・尿路結石が増えると信じられていましたが、1993年にCurhanらがカルシウム摂取の多いグループでは少ないグループに比べ有意に腎・尿路結石が少ないと発表しました2)。このカルシウム摂取による結石予防についてのメカニズムはまだはっきり解明された訳ではありませんがカルシウムを多く摂取すると腸管内でしゅう酸と結合し、しゅう酸カルシウムとなります。これは腸管からほとんど吸収されないため、尿中に排泄されるしゅう酸も少なくなると説明されています。3,4,5)

大分市の『おかもと内科』の岡本純明先生のお許しを得てホームページを参考にさせていただきました。

骨粗鬆症の専門医

・東京都練馬区桜台 阿部クリニック内科 中村哲朗院長(前浜松医大整形外科教授)
・長野県安曇郡三郷村 白木内科 白木正孝院長・白木由美子副院長
・大阪府岸和田市真上町 葛城病院 藤田拓男名誉院長(神戸大学名誉教授)
・広島県尾道市 上野整形外科 上野武久院長
・香川県綾歌郡綾歌町 くすはら整形外科医院 今井弘子副院長
・大分県大分市牧 おかもと内科 岡本純明院長(元長崎大学医学部講師)
TEL (097)558-5600
・長崎県島原市 おかもと内科 岡本純忠院長
・長崎県諫早市 そよかぜ内科 桐山健院長

カルシウムの補給について

骨量減少を予防するには薬理量のカルシウムが必要です普段の食事に更に一日1000-1500mgのカルシウムが必要です。厚生労働省の一日600mgというのは、これが最低限という意味です。

歴史

1984年に骨粗鬆症がNIH(米国保健研究所、メリーランド)で開催され、カルシウム摂取は骨粗鬆症の予防に有効であることが初めて示されてから、カルシウム療法はエストロゲン療法以外の骨粗鬆症治療薬として骨粗鬆症の治療に世界中広く使われているが、加齢による骨量減少を予防するよりもむしろ骨量減少速度を少なくする効果が一般に認識された効果で、カルシウム単独では確立された骨粗鬆症の治療薬として十分とは認識されていない。しかし治療薬との併用療法には欠かせない。カルシウム不足が骨粗鬆症の発症に重要であるという意見を出したのは、もともとカルシウム摂取不足が骨粗鬆症の原因となると初めて提唱したNordinらであるが、その他にもMatkovicらはユーゴスラビアのカルシウム摂取の多い地域では骨粗鬆症と骨折が少ないと報告し、Dawson-HughesはビタミンD受容体がBB型の人間は骨粗鬆症になりやすく低カルシウム食に適応できないと報告している。

一方反対派で英国のKanisはカルシウム摂取の高い北欧に骨折が多く、低いアジアで骨折が少ない点を指摘し、Christiansenはカルシウム補給は閉経後の骨量減少を完全に防ぐことができない点を指摘し、Draperはカルシウムは閾値物質で不足を補うのはよいが、ある程度以上は取っても効果がないと主張している。しかしカルシウムが重要なことは周知のことで、最近カルシウム投与は不足したカルシウムを補充させるだけでなく積極的に閉経後の骨量減少を抑制するという報告もありカルシウム療法の閉経期における有用性が以前より強調されてきている。しかもカルシウム摂取量の少ない日本女性においてはカルシウム療法が有効であることも証明されつつある。

骨粗鬆症の最終的な治療目標は骨折予防だと思います。

寝たきりの原因となる骨粗鬆症

 寝たきりの原因となる上位の疾患は脳卒中、高齢による衰弱、転倒、骨折です。転倒、骨折の原因のほとんどは骨粗鬆症です。当クリニックは骨粗鬆症を専門としており、DXA法による骨密度測定装置などの特殊な機器を導入し、開業しました。しかし、骨粗鬆症の患者さんはあまり多くなく、当初は高血圧や糖尿病などの生活習慣病を中心に診療していました。当クリニックは住宅地の中にあり、不特定多数の患者さんが来院するわけではなく、地域密着型です。また、周辺の住宅地は45年ほど前に造られましたから、現在はかなり高齢化が進んできています。私は老年科の専門医でもありますから、そういう意味では患者さんに恵まれていました。その後、製薬会社から骨粗鬆症治療薬の治験の依頼があり、それをきっかけとして、口コミや他の病医院からの紹介によって、骨粗鬆症患者さんが徐々に増えていきました。背部痛や腰痛を主訴として受診される方のほかに、骨密度測定を希望されたり、健康診断で骨量が少ないと指摘されて受診される方もいます。当クリニックを受診される患者さんは、治験への理解が深く、骨粗鬆症の治療に積極的な方が多いと思います。

徐々に増えてきている骨粗鬆症

当クリニックは骨粗鬆症を専門としており、DXA法による骨密度測定装置などの特殊な機器を導入し、開業しました。しかし、骨粗鬆症の患者さんはあまり多くなく、当初は高血圧や糖尿病などの生活習慣病を中心に診療していました。当クリニックは住宅地の中にあり、不特定多数の患者さんが来院するわけではなく、地域密着型です。また、周辺の住宅地は45年ほど前に造られましたから、現在はかなり高齢化が進んできています。私は老年科の専門医でもありますから、そういう意味では患者さんに恵まれていました。その後、製薬会社から骨粗鬆症治療薬の治験の依頼があり、それをきっかけとして、口コミや他の病医院からの紹介によって、骨粗鬆症患者さんが徐々に増えていきました。背部痛や腰痛を主訴として受診される方のほかに、骨密度測定を希望されたり、健康診断で骨量が少ないと指摘されて受診される方もいます。当クリニックを受診される患者さんは、治験への理解が深く、骨粗鬆症の治療に積極的な方が多いと思います。
診断には、DXA法による骨密度のデータを使っています。骨代謝マーカを測定することもありますが、腰椎骨密度をメインにしています。骨密度が低ければ、すぐに治療を開始するわけではなく、疼痛や圧迫骨折の有無を一つの判断基準としています。基本的にビタミンD(活性型ビタミンD製剤)を処方しています。ビタミンDにより筋力も増えるようで、それが転倒予防につながるという報告もあります。

骨折予防こそ骨粗鬆症治療の最終目標

骨粗鬆症の最終的な治療目標は骨折予防だと思います。骨密度が増えれば、もちろん骨の強度は増しますし、痛みも取れます。たとえば骨密度が3%増えると、骨の強度は30%くらい増えるという報告もあり、少し骨密度が増えるだけで、これまでと同じ仕事をしていても痛みがなくなり、QOLの向上にもつながります。
当初は骨粗鬆症の治療薬はビタミンDとカルシトニンしかなく、カルシトニンは疼痛を除去するということで盛んに使われていました。その後、ビスフォスフォネート製剤が登場し、こちらも痛みを取るといわれていますが、確かに第1世代はかなり疼痛を除去しますが、第2世代、第3世代は疼痛を除去するまでにやや時間がかかりますので、最近はまたカルシトニンが注目されています。当クリニックでも、ビスフォスフォネート製剤やSERM、カルシトニンを使っています。ビスフォスフォネート製剤は体内には存在しない異物ですし、半減期も長いですが、今日の治療薬としては最強の薬の一つです。又PTHと云う最も強力な治療薬が使えるようになっていますが、これは注射薬です。
当クリニックでは在宅医療も行っていますが、そのような患者さんは服薬コンプライアンスがだんだん悪くなってきますから、PTHも一つの選択肢として紹介しています。

今後は介護との関連で考える必要が

今後は、骨粗鬆症と介護の関連を考えていかなければいけません。さらに高齢化社会が進むと、転倒して骨折するだけで寝たきりになってしまうケースがますます増えますが、介護を要する人をできるだけ少なくすべきであり、そのためには筋力増強、骨折予防に取り組む必要があります。筋力増強のための指導や、栄養指導なども含め総合的な骨粗鬆症の治療を行っていきたいと考えています。

参考文献

1)Kanis JA et al,Guidelines for diagnosis and management of osteoporosis.Osteoporpsis Int(1997)7:390-406

2)Curhan GC ,Willet WC,Rimm EB,Stampfer MJ,A prospective study of dietary calcium and other nutrients and the risk of symptomatic kidney stones. N Engl J Med 329:508-509

3)Ohgitani S,Fujita T.Heated oyster shell with algal ingredient(AAACa)decrease urinary oxalate excretion,J bone Miner Metab 18:283-286(2000)

4)Messa P,Marangella M,Paganin L et al.Different dietary calcium intake and relative supersaturation of calcium oxalate in the urine of patients forming renal stones.Clin Sci Colchines 93:257-263(1997)

5)Takei K,Ito H,Masai M,Kotake T.Oral calcium supplement decreases urinary oxalate excretion in patients
with enteric hyperoxaluria.Uro Int61:192-195(1998)

6)Bess Dawson-Hughes,The role of calcium in the treatment of osteoporosis.In Osteoporosis,Ed by Marcus R,Feldman D, Kelsey J.(1996)Academic Press